★経営分析「安全性分析」
会社の返済能力を慎重に確認するには
まず、前回のおさらいで、「安全性」の分析の方法としては、
・流動比率による分析
・流動資産の項目ごとの分析
・当座比率の分析
・固定比率の分析
などがあります。
「安全性」とは、会社の返済能力であり、その返済能力を最初に見る方法としては、流動比率による分析ではないかと思います。
流動比率=流動資産÷流動負債が、1(100%)以上であれば、ひとまず、合格と言えるのですが、
実は、そこに落とし穴があるのです。
流動資産の中には、現金に換金しにくい資産があるので、せっかく流動比率を出しても、意味がなくなってしまうことがあるのです。
そこで、より確かな返済能力を確認するために、丁寧に流動資産の項目をチェックしていく必要があるのです。
そこで、それぞれの流動資産のチェックポイント、リスクについて取り上げておきます。
■現金・預金
銀行預金の場合、ペイオフ解禁による、銀行の倒産のリスクが挙げられます。
銀行の経営状況を知る必要があります。
■受取手形
手形取引は、最近あまり見られなくなりましたが、相手の会社が倒産した場合は、お金が返ってこなくなってしまいます。
決済日のチェックと発行先の会社の経営状況を調べる必要があります。
■売掛金
売上代金の回収債権ですが、やはり、貸倒れのリスクがあります。
相手先が、倒産していたり、回収が長期間滞っていたりすることもあるので、定期的に不良債権になる可能性を確認、調査をする必要があります。
■棚卸資産
売れない商品が含まれているリスクがあります。
正規の価格で売れないリスク、代金回収に期間を要するリスクも考えられます。
定期的に売れていない商品を確認する必要があります。
■短期貸付金
従業員や取引先に対する貸付のことを言います。
やはり、貸倒れのリスクがあります。
従業員の給料の前借りは、要注意です。
■その他の流動資産
換金性のないものはないかを調べる必要があります。
■有価証券
時価が、買った時の価格を下回ってしまうリスクがあります。
決算書では、買った時の価格で計上されているので、一見気づかないのですが、含み損が生じてしまいます。
必ず、時価をチェックする必要があります。
いかがでしたでしょうか。
より確かな会社の返済能力、安全性を知るためには、流動資産の項目をひとつひとつ丁寧に、その内容、リスクを確認しなければなりません。