企業向けサービス業
サービス業
スキルの高い人材が必要に
産業のサービス化の進展で、2002年には、全産業に占めるサービス業の付加価値の割合が製造業を上回った。
このうち企業向けのサービス業は1990年から2004年にかけて付加価値が1.7倍に拡大し、付加価値全体に占める割合は2004年には9.2%に達している。
経済産業省は、企業向けなどのビジネス支援サービスの市場が2000年の76兆円から、2010年には107兆円へ拡大すると展望している。
企業向けサービス拡大の背景には製造業、非製造業にかかわらず、幅広い業種で商品やサービスの高付加価値化が進み、デザインなど各種サービスに対する支出を増やしてきたことが挙げられる。
さらに、ここ数年で注目されているのは、企業の間で広がる経営資源の集中と、それに伴う外部委託の積極的な活用の動きである。企業は運営の効率化や資源配分の見直し、企業統治の改革といった経営課題に、外部の人材や知識などを利用して迅速に対応しようとしている。
ただ、企業向けのサービス業は労働集約的な産業であるため、人材の育成を通じた提供サービスの付加価値向上が必要不可欠だ。
サービス内容の高度化に応えていくためには、企業のニーズに対応できる、スキルの高い人材の育成・確保が重要になる。
『2006年7月14日 日本経済新聞 ゼミナール』
【解説】
企業向けのサービスが拡大しているものの、スキルの高い人材を確保するほうが間に合っていない状態であると思います。
企業向けのサービスが拡大している理由は、各企業は専門的スキルを持った人材を外部委託の形で取り入れているのだと思います。
その背景としては、正社員の離職率が高くなり、社内での社員の人材育成にコストをかけなくなり、最初から高度なスキルを持った人材を外部から調達しているのです。
「就社」ではなく、「就職」という意識が広まっているのだと思います。
さらに、企業統治という観点から、社内だけでなく、社外からのより迅速で、率直なアドバイス、意見が必要になってきているのです。