玉の肌石鹸
素材・デザイン追求 高級店に販路 海外展開に力
石鹸 ブランド化に活路
玉の肌石鹸は、墨田区で1892年に創業。売上高は1963年12月期に80億円に達した。
だが、東南アジア産の安価なせっけんの輸入が増え売り上げは漸減。ここ10年ほどは家庭で液体せっけん利用が急速に進み、大手も相次いで固形の国内生産を打ち切るなど市場が縮小。玉の肌石鹸の販売量は40年間で半分以下になった。
「価格では大手や輸入品に対抗できない。原点に戻ってデザインや香りなどにこだわった高級ブランドを構築しよう」。高級路線に方向を展開した。
2003年に生まれた新ブランド「TAMANOHADA」は一つ一つが手になじむテニスボール大の手作り球形せっけん。パーム油などの植物成分を多用している。1個840円。価格は、従来の玉の肌石鹸の数倍する。
販路も工夫した。新製品を英国の著名デザイナー、テレンス・コンラン氏に送付し、氏の紹介で日本の販売代理店に納入することになった。これを突破口に日本橋コレドやカッシーナなど高級品を取り扱う店舗に拡大。
在来の「玉の肌石鹸」ブランドの製品は製造を停止したが、「TAMANOHADA」により売り上げ減少には歯止めがかかった。
「マーケティング力の弱い中小企業は消費者にとって本当にいい商品を提供しなければ生き残れない」と三木社長は話す。
次は国際ブランドに育てるべく、海外販売に力を入れる。
『2006年6月30日 日本経済新聞 より抜粋』
【コメント】
物販は、以前は、より安い商品を・・・という傾向でしたが、最近は、高くても、高品質、付加価値を求める傾向にあります。
社長のおっしゃるとおり、より安くすることが困難な中小企業においては、特に本当にいい商品を提供しなければならないのだと思います。